「働き盛りの約4割がフレイルもしくはフレイル予備軍の可能性もある」とフレイル研究の第一人者、早稲田大学教授の宮地元彦先生。ステイホーム期間が長かった新型コロナ禍を経て、多くの人で、筋力や心身の活力が低下した状態であるフレイルのリスクが高まっている恐れがあるのです。将来の要介護を避けるために、今、私たちがすべきことは何か。
簡単なフレイルチェック法、最大の栄養面のリスクであるたんぱく質不足を避けるための食事法、今日から始められる効果的な身体活動のコツ…。
宮地先生が、だれにでも実践できるフレイル対策を3回にわけてわかりやすく解説します!

フレイルとは何か

現代のキーワードとなってきているフレイル。この言葉の定義、どんな人が当てはまるのかなどを解説します。

フレイルとは何か 危ないのはこんな人①
【年齢層】

フレイルは、実は働き盛りの世代から注意が必要です。なぜなら、子育てや仕事、介護、経済事情などから生じるストレスが引き金になると考えられるからです。

フレイルとは何か 危ないのはこんな人②
【若年層のフレイル対策とプレフレイル予備軍】

プレフレイル(フレイルの前段階)であることには気づきにくいもの。早めに自覚し、できることから対策を始めていく必要があります。

フレイルとは何か 危ないのはこんな人③
【男女差と体型】

フレイルと判断される人の比率に男女差はほぼありません。男性では肥満が、女性では痩せがフレイルのリスクになる傾向があります。原因は筋力の低下だけとはいえないのです。

フレイルとは何か 危ないのはこんな人④
【糖尿病とフレイルリスク】

日本人女性は国際的に見ても、若い世代に痩せている人が多いのが問題です。若い女性の「痩せ」は、フレイルだけでなく糖尿病リスクになるかもとする研究報告もあります。

フレイルとは何か 危ないのはこんな人⑤
【糖尿病における筋肉とフレイルの関係】

筋肉は糖を処理する機能を持つため、その減少は糖尿病の発症に関わります。同時に、筋肉から分泌され、各種病気の予防に役立つホルモンの分泌力も低下してしまうことに。

フレイルとは何か 危ないのはこんな人⑥
【コロナは全ての人にとってフレイルリスク】

新型コロナ感染症により、フレイルの原因になる身体活動量の低下、人との疎遠状態などが長く続きました。そのため、“コロナフレイル”が今後、顕在化してくると予測されます。

フレイルとは何か 危ないのはこんな人⑦
【プレフレイルを知る方法】

フレイルの兆候を知る手段の一つに「片足で立ち上がれるかどうか」があります。筋力の低下に早く気づくためにも、ぜひ試してみてください。

PROFILE

早稲田大学スポーツ科学学術院 スポーツ科学部教授

宮地元彦みやち・もとひこ

1965年、愛知県生まれ。88年、鹿屋体育大学体育学部スポーツ体育課程卒業。90年、同大学大学院体育学研究科修士課程修了。99年、筑波大学博士(体育科学)。川崎医療福祉大学助教授、米国コロラド大学客員研究員、国立健康・栄養研究所身体活動研究部部長などを経て、2021年から現職。日本学術会議会員。厚生労働省の『健康づくりのための身体活動基準2013』『健康日本21(第2次)』の策定などにも関わる。

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